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2023-12

【自民党への提案】国民が検証できる政治を実現する方法

∋・-・∈です。

こちらのニュースを見て、現政権の戦略性の無さをますます実感し、頭が痛くなっています。
「スピード感持ち代替案を」普天間で首相指示
鳩山首相は17日午前、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題について、平野官房長官、岡田外相、北沢防衛相、前原沖縄相と協議し、「スピード感を持って真剣に代替案を考えてほしい」と指示した。
つまり、鳩山内閣は辺野古沖以外の「より適切な代替案」を見出せていないのに、「辺野古沖は良い選択ではない」と主張しているのです。これでは、アメリカに対して「なぜ辺野古沖ではダメなのか」の説明ができません。よりベターとする案があっての「辺野古沖否定」ならば比較議論も可能でしょうが、「とにかく辺野古沖はダメ」と言っているだけなのですから・・・
常識的に考えて、アメリカ側に受け入れられる訳がないのは、社会人1年生でもわかりそうなものです。

検証不可能な政治が繰り広げられている

この件に代表されるように、鳩山民主党政権は発足以来、オープンを自称し、またオープンなイメージ戦略をとりながらも現実には「検証不可能な政治」を行っています。
とっくに出た結論をひっくり返そうとして暗礁に乗り上げている普天間基地移設問題。
経済学的に考えて同額の公共投資よりも内需への寄与が小さくなると見込まれる子ども手当て。
実現性も設定根拠も不明で、都合のよい予測を作り出そうと必死になっている温室効果ガス削減目標。
仕分け人が「もっと削減できると思った」と言ってしまえば予算削減の方向性が固まってしまう事業仕分け。
郵政民営化の巻き戻し。JAL再建策の白紙撤回、ワンワールドによる支援の拒否。
これらについて、現政権は「どうする」ということは言っていても「なぜそうするのか」「なぜそれが可能なのか」をほとんど説明していません。「変える」「やめる」「やる」という結論が先にあり、そうしなければならない理由、それができる理由は説明されないのです。

いわゆる「誰得」というやつです。
そうすることで誰が得するのか、なぜそうなるのかを議論するだけの根拠すら与えられていないのが、今の政治です。

これは、大きな問題です。根拠が示されない現政権のやり方では、民間の側で「政策を信じられるか否か」の論理的検証が不可能になってしまいます。まさに鳩山首相の「Trust me」がそれで、彼の「判断」ではなく「人柄」や「思い」を信じるか否か・・・極端に言えば鳩山首相と同じ夢を見られるか、否かでしか、政治を見ることができないのです。

これでは、企業や投資家は内閣の行動を信用することはできません。
また、世論の側では、内閣の主張が何に基づくのか分からないので、「正しい」と語ることも「誤っている」と語ることも非常に手間を要し、議論の軸を構築することすらおぼつかなくなってしまいます。

自民党は検証可能な政治を行う政党たれ

そこで、自民党への提案です。
この民主党の現状に対して、自民党はズバリ「検証可能な政治」を体現することで、対立軸を形成していただきたいのです。
一つ一つの方針、政策案について、議論の材料を提供し、国民議論の中心に自分たちを晒していただきたい。これを行うことにより、政治に興味を持つアクティブな層のフォーカスを得ることができます。「今」の政治の根拠すら提示できない民主党政権の現状では、「将来」の展望を見いだすことなどできません。ここで自民党が、自らの方針とあわせて議論の材料をきちっと提供することができれば、「日本の将来に向けた議論」という政治の重要なファクターを現政権から奪い取ることができます。また、それは国民の政治参加の新たなステップへとつながります。

具体的なプランとしては、こんなものを一例として挙げておきます。

  1. 経済、福祉・医療、外交や安全保障といった主要な方針を策定したら、その解説、および根拠となる一次資料へのリンクを伴った形で自民党ホームページへの公開を行う。

  2. 国民議論を活性化するため、政策ごとに言及したブログから「賛成」「反対」のトラックバックを受け付ける仕組みを作り、並列的に掲示する。(amazonレビューのように、「評価する意見」と「評価しない意見」を並列に掲示する)

  3. 受けている反応について、一定の期間の後にサマリーの回答を掲載、必要ならば政策を修正する(個別回答は行わない)

  4. こうした営みを政策決定の度に行い、自民党ホームページのメインコンテンツに据える


つまりは、当たり前のことを行って頂きたいだけです。
日本の政治は「自分たちはこういう理由で、これが正しいと考えている」というメッセージを国民に伝えることに、失敗し続けてきました。であればいっそのこと、根拠も、数字も、考える過程も、まるまるさらけ出してみては如何でしょうか?それさえ実現していただければ、後は三橋貴明氏が言うところの「集合知」効果が発生します。
「自民党は信頼できない」とイメージで言われるのならば、根拠となる元資料を示して、その判断は国民に任せればいいのです。上記のようにフィードバックを形に残す仕組みを構築しておけば、良い部分は「良い!」と評価されます。不満や困惑は率直な反応として得ることができます。もしその不満に、「共有された誤解」や「政治と国民の認識ギャップ」によるものがあるならば、むしろメディアに頼ることなく是正するチャンスを得ることになります。

民主党政権の抱える問題を批判することも、重要です。
しかし、自民党のみなさんは知っているはずです。審議の全面拒否や形だけの不信任案提出は、「野党としてのパフォーマンス」でしかないことを。

今自民党が果たさねばならない役割は、民主党の「無根拠な夢で支持された政治」と正面対決できる「根拠ある、支持された政治」を形成することではないでしょうか?
そのためには、すべてを国民の目に晒すべきです。政権が国民をかやの外に置いて、勝手な事をしている今こそ、国民を野党の議論に巻き込む最大のチャンスであり、自民党はそうするべきではないでしょうか?
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【第二の文革】中国とは価値観を共有できない、という確かな現実

∋・-・∈です。
今日は「日米中正三角形論」に冷水を浴びせるようなニュースが飛びこんだので、その話題です。


民主党の対中傾斜は事例を上げて指摘するまでもなく明らかなのですが、民主党によれば、それは「正三角形の日米中関係」の構築のためだそうなのです。

民主・山岡氏「日米中は正三角形であるべき」上海のシンポで - MSN産経ニュース
民主党の山岡賢次国対委員長は14日午前、中国・上海市内で開かれた同党と上海国際問題研究院との共同シンポジウムであいさつし、「日米関係は基地問題で若干ぎくしゃくしているのは事実だ。そのためにもまず日中関係を強固にし、正三角形が築けるよう米国の問題を解決していくのが現実的プロセスだと思っている」と述べた。
ここで山岡国対委員長によっても明言されているとおり、小沢-鳩山政権は「正三角形の日米中関係」を志向しています。
しかし、これは非常に危険な方向性であると断じざるをえません。
国家を形作るものとは、経済力や軍事力だけではありません。国と国との関係は、経済や軍事のバランスだけで語ることはできません。
現状の中国は、たとえ貿易によりグローバルな環境で経済発展を遂げていても、国家を治める、ということについて、日米とは全く異なる価値観を持った国家です。日本と米国は自由主義国家としてその価値観を共有していますが、日本と中国がその価値観を共有することは不可能です。
その現実を如実に示すのが、以下のニュースです。

「ネット上のサイト、個人の所有認めず」/中国 - 中央日報
中国インターネット情報センターは14日、個人のインターネットサイト所有を禁じる内容の新しいインターネット政策を発表した。同センターは中国のインターネット上に流通するすべての情報を監視する政府機関だ。匿名を求めた同センターの関係者は「社会に有害な情報を広げるのを防ぐため、今後、個人的目的によるサイトは厳しく禁じる」と説明した。

ブログなど個人が運営するサイトは、以前のインターネットポータルやビジネス向けのサイトでのみ可能だということだ。すでに開設されている個人のサイトは段階的に閉鎖される。
要するに、政府のシステム的な管理下にないネットメディアの存在を容認しない、ということです。個人の情報発信経路を企業サービス配下のブログシステムなどに限定することで、フィルタリングによる不都合な情報の流通阻止や、突発的なバズリングの抑制、発信者を突き止められなくても情報を塞き止められる体制の確立を狙っている、と考えられます。

この時代に、個人に対する情報統制に邁進する国家と、かたやTwitterのような「意味があるかどうかはともかく、生活のすべてをネットに公表する」ような仕組みを生み出す国家。この間に立って正三角形を描く、という論が果たして現実的であると言えるでしょうか?
価値観が正反対の国の間に板ばさみになって、日本はいったいどのような態度を取れるというのでしょうか?

こうした事実を前に「正三角形の日米中関係」論に思いを廻らせたとき「米中の両国がある限り千鳥足を歩まねばならぬ険しい道」としか見えないのは、私だけではないと思います。

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相対貧困率という指標を理解する

どうも、間が空いてしまいました。∋・ー・∈です。
少し旧聞になりますが、「貧困率」の話題でも書きたいと思います。ちょっと説明が長くなったので、前後編に分けますね。

日本の「相対貧困率」を、政府がはじめて発表したそうです。
貧困率:日本15.7% 先進国で際立つ高水準 - 毎日jp
長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータでは、日本は加盟30カ国中4番目に悪い27位の14.9%で状況は悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。


まず、「相対貧困率」とはなんでしょうか。厚生労働省の説明によれば、OECDの計算方式と同じ方法で算出されているそうです。

相対的貧困率の公表について
厚生労働大臣のご指示により、OECDが発表しているものと同様の計算方法で、我が国の相対的貧困率及び子どもの相対的貧困率を算出しました。

そして、この「OECDの算出方法」ですが、上記リンクのPDFによれば
「等価可処分所得」(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値の半分に満たない世帯員の割合をいう。
とあります。

「等価可処分所得」とは

まず、「等価可処分所得」の概念から説明してみましょう。
等価可処分所得とは、世帯ごとの効用水準に着目した統計的な数字であると言えます。例えば、「1人暮らしで可処分所得250万円の世帯」と、「2人の合計可処分所得が500万円の世帯」について比較したとき、世帯員1人あたりの所得(収入)には格差がないものの、物品、生活スペース(家賃)や食費といった「1人あたりの基本生活コスト」に差が生じるなど、世帯人数によって実際に消費に供することが可能な額は変わってきます。従って、可処分所得をすべて消費に供すると仮定した場合、世帯員1人あたりで基礎的消費以上の「豊かな生活」のために用いることができる額は世帯員が多いほど増え、消費総額あたりの満足度も向上する(基礎的消費が希釈される)と考えられます。
この「同じ金額の所得の効用水準(満足度)は、世帯人数が多い方が高い」という現象を統計に反映する目的で、世帯員1人あたりの所得を調整したものが「等価可処分所得」です。

等価可処分所得と貧困率の水準

仮に、両親と子供1人の3人暮らし、親が共働きで税・保険料引き後の所得が合計500万の世帯について考えてみましょう。この世帯の構成員の1人あたりの所得は 500万 / 3 ≒ 166.6万ですが、等価可処分所得では、500万 / (√3) ≒ 289万/人 となります。
これはすなわち、3人暮らしで可処分所得500万の世帯の等価可処分所得は、1人暮らしで289万の等価可処分所得を得ている人と統計上同等に評価される(構成員の生活水準が同じ)ということになります。
このように、世帯所得と世帯人数を連結して取り扱い、世帯ごとに等価可処分所得の算出を行うと、データのある国民すべてについて、ゼロから××億円まで一列に並べることができます。同じ世帯に属する世帯員は、すべて同じ額で並びます。こうやって並べた国民の列の、ちょうど真ん中に該当する人の所得が「等価可処分所得の中央値」です(中央値と平均値は違うので、気をつけてください)。
実は、厚労省発表の「相対的貧困率の公表について」には、この中央値の数字は記載されていません。いっぽう前出の毎日の記事には
06年の所得を基にした中央値は228万円。
と言及されています。
この値の出所は不明ですが、この値が真ならば日本における平成19年度の貧困線はこの半分、等価可処分所得で114万円となります。逆算して世帯の可処分所得に戻すと、世帯員1人なら114万円、2人で161万円、3人で197万円、4人で228万円であり、収入はこれに税額と保険料などを差し戻した額となります。

あくまで世帯単位での「所得」

この統計根拠になるデータは「国民生活基礎調査」によるものです。国民生活基礎調査において、「世帯」は以下のように定義されています。
国民生活基礎調査規則
第三条  この省令において「世帯」とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは生計を営む単身者をいう。
2  この省令において「世帯員」とは、世帯を構成する各人をいう。
3  この省令において「世帯主」とは、世帯を主宰する世帯員をいう。
例えば単身上京した大学生が、月8万円のバイト代で生活している場合、世帯員1人、可処分所得96万円以下となり「貧困層」に該当します。また、国民年金で生活する老人世帯は、たとえ貯蓄がいくらあっても「貧困層」になってしまいます。所得のみを基準としているからです。持ち家、借家などの条件も斟酌されません。さらに、国民生活基礎調査は自己申告による調査のため、「仕送り」等の給与外収入が計上されるかどうかは本人の判断次第となります。
一方で、生活保護受給者の受給額は「収入」に該当するため、「貧困線」を上回る額の保護を得ている生活保護受給者は「貧困層」に当たらないことになります。

生活保護の支給例 - wikipedia
平成17年度の基準(第61次改訂生活保護基準額表より) 東京都特別区内在住(1級地の1)
単身世帯 31歳
第1類 40,270円(20-40歳)
第2類 43,430円(単身世帯)
住宅扶助 (最大)53,700円
合計 137,400円(月額)
この例の男性は、十分に「貧困線」を上回ります。
このように、国民生活基礎調査で得られた世帯所得情報だけを基準とした「相対貧困率」は、実際に生活に困窮しているわけではない人に対しても「貧困」という分類をかける一方で、困窮を理由に生活保護を受給している世帯を「貧困」から除外するような統計数値であることは、本件を考える上で考慮しなければいけない点であると思います。

冒頭で引用した毎日の記事では、以下のように書いていました。
日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。

上記のように、「相対貧困率」は必ずしも「経済的に困窮する人の割合」を示す指標ではありません。際だっているのはあくまで「相対貧困率」であり、「日本の貧困」ではないのです。マスメディアがこうした「わかりやすさ」という呼び名の「読み替え」を主導することで、国民の間に一定の前提を形成する構図が露骨に現れたケースといえるかと思います。

続きの記事で、「相対貧困率」を政策判断の基準に用いようとすることについて、問題点を説明させていただきます。しばしお待ちください。

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鳩山内閣は安保理決議1874号を履行する気があるのだろうか?

鳩山内閣は、今月の臨時国会に北朝鮮関係船舶に対する貨物検査法案を提出しないことを決めました。

郵政株の売却凍結、臨時国会に=貨物検査法案は先送りへ-政府 - 時事ドットコム
一方、7月の衆院解散で廃案となった北朝鮮関係船舶に対する貨物検査法案については、提出を先送りとする方向。北朝鮮の金正日総書記が6カ国協議に復帰する可能性を表明したことや、連立を組む社民党の反対が必至なことを考慮。
この説明には相当納得がいかない部分があります。
「北朝鮮が6ヵ国協議に復帰する動きを見せているため」国会への提出を見送る、という説明は、言い換えれば北朝鮮が6ヵ国協議に参加するならば、日本は安保理決議1874号を骨抜きにしても構わない、というメッセージになってしまいます。
言うまでもありませんが、安保理決議1874号は6ヵ国協議不参加へのペナルティではなく、2009年5月の核実験に対するペナルティです。

別に北朝鮮を名指しする必要はない

麻生内閣が検討していた貨物検査特措法は、前段で法律の目的を以下のように表現されています。

貨物検査特措法案の概要 - 首相官邸ホームページ
本法の目的は、安保理決議1874等を踏まえ、我が国が実施する北朝鮮特定貨物の検査等について定め、安保理決議の実効性を確保するとともに、北朝鮮による核実験、ミサイル発射等の一連の行為によって生じた我が国を含む国際社会の平和と安全に対する脅威の除去に資すること。
民主党は今回の提出見送りを北朝鮮の6ヵ国協議参加を見守るためだと主張しているようですが、それならば上記自民党案の特措法の「名指し」部分を用いることなく、「特定貨物」に対する臨検を海保の業務とすることを定める法律を作ればよいのです。この際、発動要件に「当該厳格な実施を確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障理事会の決議に基づく」と加えれば、北朝鮮を名指しして協議離脱の口実にされるなどの恐れなく、かつ、必要になれば即刻、安保理決議1847号を根拠に北朝鮮貨物へこの法律を適用できる体制を整えることができます。

実は、そうした要件を定めた法律が既に存在します。「周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律」です。

周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律
第二条
この法律において「船舶検査活動」とは、周辺事態に際し、貿易その他の経済活動に係る規制措置であって我が国が参加するものの厳格な実施を確保する目的で、当該厳格な実施を確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障理事会の決議に基づいて、又は旗国(海洋法に関する国際連合条約第九十一条に規定するその旗を掲げる権利を有する国をいう。)の同意を得て、船舶(軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるもの(以下「軍艦等」という。)を除く。)の積荷及び目的地を検査し、確認する活動並びに必要に応じ当該船舶の航路又は目的港若しくは目的地の変更を要請する活動であって、我が国領海又は我が国周辺の公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)において我が国が実施するものをいう。
今回こちらの法律が使えない理由は、この法律が表題の通り「周辺事態に際して実施する船舶検査活動」であり、適用は「自衛隊の部隊等」と指定するなど北朝鮮船舶検査の法的根拠として求める要件と異なるためですが、実施要件を国連決議の存在に求める、対象国を具体的に指定しない検査法案が既に成立していることは事実ですから、立法上の無理はありません。

このような工夫さえすれば、任意のタイミングで北朝鮮への船舶検査を開始できる準備を整えることができます。この場合、我が国が「国連安保理決議に協力するための法律」を作ったことを、北朝鮮も、他の協議参加国も、非難することはできませんから、外交上失点には成り得ません。そして北朝鮮に対してはむしろ、今後協議の席を蹴ることに対する抑止力として働くことが期待できます。協議を蹴ると海保に活動命令を出すぞ、という駆け引きに役立つのです。

内閣運営の都合で国際責任を果たせない日本?

日本政府は、自国が主体的に関わった安保理決議の実効性を担保する責任があります。アメリカは既に決議を履行し、米軍による船舶の追跡行動などで成果を収めています。
北朝鮮の対応を気にするのならば、上記のように名指し部分を取り除いて法的根拠を成立させておくことは可能なはずです。もし、「6ヵ国協議うんぬん」が言い訳にすぎず、鳩山内閣が社民党や党内左派への配慮のために法案成立の努力を怠っているならば、これは国際社会に対しての裏切り行為に他なりません。

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亡くなった中川昭一氏、江畑謙介氏をブログで誹謗する民主党議員すとう信彦氏の程度について

このブログで、特定の政治家の政策ではなく個人の品性を問題にするのははじめてです。

民主党所属の衆議院議員であるすとう信彦氏が、元財務・金融相の中川昭一氏及び軍事評論家の江畑謙介氏について、自らのブログでとんでもない誹謗を行っているので、以下に紹介します。

中川昭一氏の奥様の行動を「不自然」と誹謗、個人についても「権力を振り回した」と誹謗するすとう信彦氏


中川昭一氏死亡 - すとう信彦 & his band
しかし、体調悪く自宅で寝ている人間がなぜ、ポロシャツで短パンなのか?夜の9時に帰宅した妻が、上半身をベッドにもたれて寝ている同氏を発見というが、普通なら足をもちあげてベッドに寝かせたり、風邪引かないように毛布をかけてあげたりするものだろう。
物理的には自然な死でも、状況から見れば不自然という死は政治の世界ではよくある。しかし、松岡農水大臣の自殺(?)も含め、政治家の不自然な死は多く「金」の問題と関係があると言っても過言ではないだろう。財務・金融担当という巨大な権力を振り回した者の死は徹底的に原因究明してほしいものだ。
明らかになっている真実はただ一つ。中川氏が死去したことだ。ご冥福をお祈りしたい。
品性を疑います。
中川昭一氏の死去をもっとも悲しんでいるであろう奥様の行動に対し、まだ死因も明らかになっていないタイミングで疑問視するような発言を行う国会議員が存在することに、愕然としました。この奥様の行動が「不自然」という指摘は、すなわち「奥様の行動が嘘」もしくは「奥様の行動が死に関係した」という指摘であると捉えられてもおかしくありません。
また、中川昭一氏は確かに「財務・金融担当という巨大な権力」のトップに立たれましたが、その権力を私したわけではありません(少なくともそういう事実は報じられていません)。任命された職務を遂行されただけで、なぜ「権力を振り回した」等という表現をされなければならないのでしょうか。それとも、すとう議員は民主党代表である鳩山由紀夫氏について紹介するとき、「現在は総理大臣という巨大な権力を振り回し・・・」とでも言うのでしょうか?

まがりなりにも国会という同じ職場で仕事をした人物の悲報に接したとき、このようなことをブログにホイホイ書ける神経が理解できません。

さらに、10月12日には急逝された軍事評論家 江畑謙介氏についてもエントリを書かれています。

軍事評論の立場を貫いた江畑氏を「疑似評論家」「自民党べったり」と誹謗するすとう信彦氏


ある軍事評論家の死 - すとう信彦 & his band
日本には本当の意味で、軍事専門家などはいない、また出てこないだろう。そのなかで、一応、擬似専門家としての役割を果たしたのが江畑さんだった。
しかし、その後は政治、特に与党への傾斜が激しく、政府見解の応援みたいなことを軍事専門家のタイトルで行っていた。次第に自民党べったりになってきて、数年まえに会ったときには、自民党のプロパガンダの集会やイベントにも政治家に寄り添って立つようになった。きっと政治の世界にでていきたいんだなあ..と思ったことがある。軍人じゃあるまいし、評論家が皮の防寒服などを着てイベントに並んでいる姿をみて、悲しい思いをしたことがある。しかし、それでも60 歳という若すぎる死を悼みたい。かって電話で講演を依頼したとき、ともかく生きていくためには、ひたすら原稿を書かなければならないみたいな理由で断ってきたが、やはり文筆だけでは生活は苦しかったのかもしれない。心よりのご冥福を祈りたい。
こちらのエントリについては、週刊オブイェクトさんがすでに怒りのエントリを書かれていますが、こちらで指摘されている通りデタラメもいいところです。

追悼を口にしつつ故人を誹謗した首藤信彦という最低の民主党議員 - 週刊オブイェクト
内容を引用するのも気分が悪いです・・・出鱈目な話を並べ立てて、勝手な思い込みだけで誹謗中傷を行っている・・・江畑謙介さんの人となりを知る人なら、誰もがこの首藤信彦の日記を否定するでしょう。

週刊オブイェクトのJSFさんに全く同意です。江畑謙介氏は政治の世界に出て行こう、などとする方ではありませんでした。彼が論説に政治的見解を交えることがなかったのは、江畑氏の論説をご存じの方は頷くところしかりでしょう。詳しくは週刊オブイェクトのコメント欄をご覧頂くと、私なんぞが説明するより良質な指摘がなされています。

当ブログとしては、すとう信彦議員の中川昭一氏、江畑謙介氏に対するブログでの誹謗行為について、民主党へ指摘させていただくつもりです。

ちなみに、すとう議員が如何に戦術・戦略に通じていないか

大体、すとう議員はとてもじゃないですが江畑謙介氏を「お互い専門家」と表現していいような専門性をお持ちとは思えません。
すとう議員、失礼ながらあなたは、戦略面と個々の兵器情報を連携した総合的な議論を得意とした江畑氏を「兵器という切り口だけで戦争を論じる」などと言い切ってしまえるような立場からはもっとも遠い人物です。

私は一時期、すとう議員の掲示板をウォッチしていたことがあります。2003/04/18から2003/05/02の書き込みの一部を抜粋保管していますが、これを見てもすとう議員が戦術・戦略に通じていないことがよくわかります。

すとう議員は以下の書き込みで
re:90式追記  at 2003/04/30/10:40:32  [1065]
首藤信彦


10tトラックでも限りなくメンテナンスしなければならない日本の道路では、90式は移動できないでしょう(皮肉なことに、ソ連製の戦車もおなじでしょうが)。日本のような車社会で、緊急時にそもそも戦車が本当に移動できるのかも疑問をもっています。阪神大震災のとき起こったさまざまな事例を見ればわかるように、車の流れの規制はとてつもない強権がないと難しい。政府の有事法制案でも住民を安全なところに誘導となっていいますが、局所洪水や山崩れぐらいの規模なら別ですが、現実にはそんな安全退避場所もなく誘導は困難です。
と90式戦車を批判した上で
日本ではともかく、小回りがよく、野原から農道、林道、一般道、国道を走り回れるLAV装輪装甲車や、逆に山林に隠れて環境と一体化するスウェーデンの無砲塔のS戦車(使いにくいそうですが)のような新思考の装甲車が必要だと思います。
と持論である新思考装備論を展開したものの、他の投稿者にこのように返されてしまっています。

Re:re:90式追記  at 2003/04/30/10:53:55  [1066]
軍事素人ですが・・  


本当に装甲車をご存じなのですか?それこそ接地圧の高い装輪装甲車だったら、すぐ地面にめり込んで日本の積雪地帯や農道や田園では動けなくなってしまいますよ。
欧州やアフリカと日本が違うって事自体、誰が考えてもすぐ解ることですが・・・・
阪神大震災云々ですが、道路壊れてが通れないから装輪装甲車じゃ使い物にならない、そうとしか私は読めません。
キャタピラなら道路以外でも通れますけどね・・・

国防整備理念を問います  at 2003/05/01/04:14:10  [1137]
一応  


さて、首藤議員の主張では「大型化した第3世代以降の戦車は我が国にはそぐわない」ので「装輪装甲車を導入すべし」らしいですが、前述したように装輪車には戦車を代替するには機動性の面で大きな問題があります。また、敵方が装輪車の進路妨害をするのは装軌車にそれをするよりも、はるかに簡単である事を忘れてはいけません。
また、スウェーデンのStrv103 Sタンクなどはまさに、国土を挙げて徹底的な抗戦が可能な様に準備された同国全体のシステムが前提である事を忘れてはいけません。道路規制はむつかしいだとか、誘導は困難などと甘い事を言っている方が一方で同車を例に持ち出すのは矛盾の極みです。Strv103が移動トーチカ的運用のみを前提に産み出されている事も、全て同国が「備えられた」国家であるという文脈の上に存在しているのです。
全体を通して見て、首藤議員は装備品個々についてはある程度の知識はお持ちの様ですが、それが戦術や(国是と連結するような)長期的なスパンでの国家戦略とは連結していないように感じられます。
「軍事素人ですが・・」氏、「一応」氏によるこれらの指摘は至極もっともなものと言えます。すとう議員が挙げたような軽装甲車両で迎撃戦を実施するならば、持久戦、遅滞戦闘は期待できません。ヒットアンドアウェイでの戦闘を余儀なくされますので、それこそ道路利用の完全規制や都市の全面疎開を含めた民間の全面的協力が必要になります。
待ち伏せ戦術に特化したS戦車タイプの兵器についても同様で、敵を待ち伏せ地域に誘導するためには(すとう議員が廃絶に尽力された)地雷敷設やクラスター爆弾による面制圧などを活用し、敵が死角や待ち伏せ地点の多いルートを取らざるを得ない状況を構築することが前提になってきます。
実際のところ、陸上自衛隊は山間部で待ち伏せを行うことも想定されていますし、74式、90式にはSタンクを参考にした姿勢制御システムも組み込まれていますが、つまりは「待ち伏せ兵器で迎撃すれば道路規制の問題は解決」というわけではなく、待ち伏せ迎撃する条件を整えるためには主力戦車も必要だし、民間への大きな影響も避けられない、ということに他なりません。

このときかいま見られた
道路の規制が難しい→通常の戦車を走らせるのは難しい→軽量の装甲車とか待ち伏せで対応
というすとう議員の論理展開は、はっきり言って戦術や戦略と兵器体系の議論に連続性が確保されていない、「ぼくがかんがえたすごい兵器」レベルの稚拙な論です。自分が仰っている兵器が、どのような条件ですとう議員は江畑謙介氏を「兵器という切り口だけで戦争を論じる」等と書いていますが、なんのことはない、兵器という切り口だけで戦争を論じているのはすとう議員の方なのです。

こうした的確な指摘にすとう議員はどう返すかな、と思っていたら、結局こうなったのでした。

re: BBSと防衛論議  at 2003/05/01/16:05:44  [1143]
首藤信彦  

残念ですが、防衛論議をこれ以上このBBSで続けるつもりはありません。

これを見た瞬間、開いた口がふさがらなかったことが今も鮮明に思い出されます。

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