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与那国島陸自配備撤回の件を説明する

北澤俊美防衛相が与那国島への自衛隊配備計画を撤回した件について、どうもいろいろな誤解が入り交じったエントリーを見かけるので、わかる範囲で説明してみようと思います。

与那国島への陸自配備を撤回 防衛相インタビュー -NIKKEI NET-
北沢俊美防衛相は24日、日本経済新聞などとのインタビューで、沖縄県与那国島への陸上自衛隊の配備について「アジア諸国と連携していく情勢のなかで、いたずらに隣国を刺激する政策はどうかと思う」と述べ、撤回する方針を明らかにした。

この件は、

●離島への脅威対処の基本方針
●与那国島への自衛隊配備の目的と期待されていた役割

の二つについて理解していないと、なかなか理解しがたいように思われます。

そもそも自衛隊は島嶼をどのように守るのか

島嶼への侵略対処については、防衛大綱において明確に方針が示されています。
平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について
IV 防衛力の在り方

ウ 島嶼部に対する侵略への対応
島嶼部に対する侵略に対しては、部隊を機動的に輸送・展開し、迅速に対応するものとし、実効的な対処能力を備えた体制を保持する。

つまり、自衛隊の島嶼防衛の基本方針は「侵略に対応して部隊を展開する」というものです。島嶼に迎撃戦力を配備し、敵侵略に備えることはもとより基本方針の外です。またここで触れられている「実効的な対処能力」として、離島対処即動部隊である西部方面普通科連隊の存在を挙げることができます。

なぜ島嶼に十分な陸上迎撃戦力を配備しないのか

島嶼の孤立部隊というものは、攻める側からすると勝ちパターンを作りやすい相手なのです。戦闘における勝ちパターンとは、「敵より多くの戦力を集中する」ことです。ランチェスターの法則で、「防衛には彼我の戦力差が三倍、攻撃には彼我の戦力差が六倍」という数字が有名な、アレです。
民間人も居住する孤立した島嶼に、予想される敵攻略部隊に対して十分な迎撃戦を展開するだけの兵力を常時配備することは兵站・訓練等様々な面で容易ではなく、不十分な戦力を配備しても、実質的には損耗しつつ敵侵攻の進度を遅滞させるための「死守部隊」にしかなりえません。また、増派に船若しくは航空機を要する島にあっては常駐兵力の把握も容易なため、敵が攻め手に出る場合、我の戦力を十分に撃破しうる規模で攻撃してくる可能性が極めて高いと言えます。
一方、侵攻側に島を占拠された場合は、敵部隊の側が「島嶼の孤立部隊」と化して、守勢に回ることになります。つまり、上記の彼我が逆転し、奪還する自衛隊の側が「勝ちパターンを作りやすく」なります。敵勢力の規模が確定していますし、仮想敵との海上・航空戦力差から、初動で出し抜かれたとしても、敵増派の阻止は容易と言えます。島嶼はあくまで点ですので、陸上戦力については放置しても敵勢力が拡大するわけではありません。敵消耗を待つ戦術も選択できるわけで、奪還戦が圧倒的に有利なのです。
まとめると、島嶼の防衛については、迎撃戦を放棄してでも奪還戦にリソースを集中した方が、優位に戦闘を展開できる可能性が高いことになります。
こうした事情から、防衛大綱の示す方針として、島嶼に陸上迎撃戦力を配備することは要求されていないのです。

与那国島へ配備予定の陸自部隊とはどんなものだったのか

与那国へ配備される予定であった陸自の部隊は、沿岸監視隊であることが明言されています。

与那国島に「陸自配置」 国境の守り、意思明示 -MSN産経ニュース-
配置する部隊は、レーダーなどで船舶の航行情報を収集する沿岸監視隊となる見通しで、規模は数十人。防衛省は、那覇市に司令部を置く陸自第1混成団(約1800人)を今年度末までに約300人増強し旅団に格上げし、その後、旅団から与那国島に部隊を新たに置き、レーダーサイトも設置する。

旅団分遣の対海上レーダーを運用する監視隊であり、戦闘部隊ではありません。従来の航空機や艦艇などによる海上監視に加え、持続的な監視体制を構築することを期待された部隊で、想定される戦闘行動能力は基地施設の自衛戦闘程度です。
参考までに、同様の任務を帯びている陸上自衛隊 北部方面隊 第301沿岸監視隊の装備品を以下に引用します。

第301沿岸監視隊 -Wikipedia-
装備
ミネベア 9mm自動拳銃
64式7.62mm小銃
12.7mm重機関銃M2
73式小型トラック
73式中型トラック
73式大型トラック
人員輸送車マイクロバス業務車1号
業務車3号
リヤカー

これは着上陸侵攻に対抗する戦力として期待できる戦力ではありません。もちろん、起伏の激しい与那国島への着上陸侵攻にあっては、敵部隊の装甲車両使用も制限されるため、長射程が期待できる重機関銃の存在によって我の優勢を確保することが期待できるかもしれません。しかし、まるで中国に対して突きつけた抑止力を放棄したかのように取り上げてしまうのはちょっと行きすぎた表現ではないかと思います。

隣国を刺激する政策が防衛ではないとすれば何が防衛なのか -私の主張 ひとりの日本人として-
侵略されないためには抑止力を維持する必要があり、そのためには、その恐れがある国を牽制しなければならない訳であり、だが、自衛隊を配備するなどして、刺激しない方が良いとする綺麗事で日本を守れると本当に思っているのであれば付ける薬はなく、このような方が防衛相とは自衛隊にとっても、国民にとっても不幸なことである。

こうした批判は少々ずれているように思います。もとより監視部隊には、敵の戦術を制限する(小型舟艇・潜水艇などによる小規模部隊による占拠の遅滞・阻止)ことはできても、戦略レベルで抑止力を発揮することは期待できないのです。

なぜ自民党政権は抑止力を期待できない部隊を配備しようとしたのか

意図については政府サイドの明言がないのですが、先の記事ではこのように説明されています。

与那国島に「陸自配置」 国境の守り、意思明示 -MSN産経ニュース-
付近を航行する船舶の監視を行うとともに、離島防衛の意思を明確にするのが目的で、軍事力を増強し東シナ海での活動を活発化させる中国に対抗し、南西諸島の防衛力を強化する狙いがある。

要するに、まずは政治的な意思表示としての部隊配備ということです。同時に防衛力強化の狙いにも触れられていますが、これは持続的監視能力を獲得することで、例えば台湾有事が近づき、航空機による監視などに危険を伴う状況などへ対処しやすくなる点や、航空機・艦艇のリソースを振り向ける必要がなくなることによる戦力強化を指しているのでしょう。


今回の決定をどのように評価するべきか


●そもそも自衛隊は離島への着上陸侵攻を、直接的な部隊配備で抑止する方針にない
●配備の主要な目的は、政治的メッセージの発信である

この点を理解すると、「友愛外交」との連続性で今回の話が整理できます。つまり、今回の陸自配備の話は、外交的な意図によって生まれ、外交姿勢の変化で消えることになっており、軍事的な抑止力への要求は最初から最後まで、強い影響を持っていないわけです。
自民党政権では先島防衛意志のメッセージとして与那国島への部隊配備を検討していたが、民主党政権は当該地域への主な脅威勢力を中国と捉え、中国との対話チャネルを拡大する方針があることから、外交的対処を優先し「警戒的」なメッセージを要しないので中止という判断が下った、と解釈するのが適当です。
もちろん、そうした民主党の対中姿勢のほうを疑問視するというのなら、それは外交スタンスの問題ですから理に適っています。
また、純軍事的な議論として、離島奪還能力や有事の増派能力の不足を指摘し、先島奪還の要として宮古島/下地島への即応部隊の配備を訴えたり、沖縄本島からの部隊輸送能力の拡充を求める、ということなら「抑止力」を問題にしても話はわかります。

個人的には、領土防衛の意思表示である与那国島への部隊配備を取り下げることには反対です。領土防衛は寸時の外交的状況とは無関係な日本国の権利ですから「配慮」の必要はありませんし、もとより当該地域の軍事的空白状況は、「近隣諸国への配慮」および「沖縄県民への配慮」という戦略性に欠ける側面があることと、2000m級滑走路を有し、台湾との距離が近い与那国島は中国にとって戦略的価値が高く、台湾有事に際して様々な危険が想定されるためです。また、戦闘行動能力を持たない沿岸監視部隊の配備を「いたずらに隣国を刺激する政策」と判断する北澤大臣の感覚は素人レベルであると感じています。日本への着上陸を意図しないかぎり、沿岸監視部隊の配備は隣国にとってなんら軍事的脅威には成り得ないからです。

ですが、与那国島への自衛隊配備中止で抑止力がなくなる!これは売国だ!と言い出してしまうのは、事実をねじ曲げていますし、問題を正面から見据えた議論とは言えないのではないか、とも思うのです。


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